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令和2年1月7日創刊 介護、テレビ、メディア中心に社会問題まで「ほんまやで~」と気がついてもらうオピニオンサイト

30代男性が在宅介護に幕を閉じた理由

30歳過ぎから認知症祖母を6年間、4年目から母親(母親は脳梗塞や大腸ガンを患ったことや元々祖母とは相性が悪いため)が参加し、2人で在宅介護をしてきましたが、先日あっけなく幕を閉じ介護老人保健施設(老健)への入所が決まりました。

介護老人保健施設(老健)とは介護、介護保険法で「要介護であって、主にその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し……」と定められた厚生労働省が管轄する施設。

なぜ突然幕を閉じざるおえなかったのか、さまざまな事情や背景をリアルに書いていきます。

 

「6年間の在宅介護があっさり終了した家族と施設側の事情」

母親の元に「すみません。老健の者ですが、一度2泊ほどショートで利用されてみませんか?」と一本の電話。

電話の相手は先日見学に行った老健の職員さん。

ここ3ヵ月位祖母の症状が進行の一途。

トイレの仕方が全くわからなくなったり、電源コードをかじったり、部屋の衣服などを散乱させたり、お箸やスプーンのもち方などを忘れて食事の仕方を忘れたり。

私と母親は在宅で看るのがそろそろ限界を感じていました(

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181207-00000050-dal-ent)。

デイサービスやショートステイやお泊りデイからケアマネジャーさんに「症状が2段階位進行した」と連絡をうけていたので何件か施設見学(

https://kaigo.news-postseven.com/11970

)へ行っていました。

私たちは連絡をうけ正直ホッとし祖母を送り出しました。

1日後、 「おばあさまが大変安定しておりまして、このまま長期入所も可能でございますがいかがでしょうか?」再び老健の人から電話。

あまりにも突然だったので、「少し考えさせていただいてもよろしいですか?」と聞くと、「明日朝9時までにお返事いただけますでしょうか」と言われました。

 「えっ、わずか1日で決めろと言うんか」と心は叫んでいたが口には出せません。

わざわざ提案してもらい、老健にも事情があるだろうから・・・。

祖母の進行状況をみるとこういう時もそう遠くないとある程度覚悟は決めていました。

まだもう少し在宅で看てあげたいという思いはありましたが、経済的、身体的な事情でもう精一杯。

「よろしくお願いします」と。

2人共心の中の返事は決まっていました。

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祖母の入所施設



「月20万、数百万の借金、1日10回超のトイレ介助・・・在宅介護を阻む二つの壁」

在宅介護を続けるには二つの壁がありました。

一つが経済的事情。

在宅介護を阻む最も大きな要因になりました。

とにかく在宅介護はお金がたくさんかかります。

祖母は電話局で一筋45年近く勤務していましたが平社員だったので、年金額は一般のサラリーマンよりは少なめではありますが、女性の中では多いほうだと思います。

要介護4、1割負担で下記の費用が発生しました。

毎月の介護サービス費はだいたい毎月約12万。

内訳(お泊まりデイを週2回はデイサービス、週2日はお泊まりを利用し月7万、ショートステイ月2泊3日で月1万、デイサービス週3利用で月2万、訪問看護週1時間利用で月7千)

他介護サービス費以外の費用は毎月約3万。

 

 トータルすると毎月約20万位。

その上に祖母が残した数百万の借金返済・・・。

要介護4になって3年程、毎月だいたいこれぐらいの金額がかかっていました。

祖母の家はしばらく残し、私が時折寄って過ごすこともあるので家の管理費や若干の光熱費の他生命保険費はかかるものの、介護サービス費、食費、介護用品、紛失費、医療費がかからなくなります。

 老健の毎月の費用が12万7千円なので、介護サービス利用料だけでも約2万3千円、

食費、介護用品、医療費(老健は病院が併設され薬代も老健負担)も不要で約4万。

介護サービス利用料約2万3千円、食費・介護用品・医療費約4万 合計6万3千円が浮く計算になります。

次に身体的な事情。

6年間平均週4日私が在宅介護をしていて最近の進行スピードは身体的に負担でした。

中でもキツかったのが夕方~翌朝までのトイレ介助(

https://kaigo.news-postseven.com/10725)。

介護サービスをうけない終日在宅の時、昼間は母親がいるものの夕方以降は私一人。

夕方~翌朝まで多い時で1日10回程処理に終われ、オムツが満タンになるので0時頃1回起こして替えたり、横もれして布団や毛布が尿でびしょびしょになり交換したり。

それが終わったと思った束の間、朝3時頃から頻繁に起き出すという毎日(

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigo-text/home-care/no49/)。

夜間ほとんど寝られないので、昼寝は少しするものの、睡眠時間はグチャグチャで常に神経がはりつめた状態。

週5日フルタイムの仕事など夢のまた夢・・・。

ライターやコラムニスト中心にリサーチやマーケティングの仕事はしていましたが、収入や仕事ができる時間は限られていました。

正社員やフルタイム勤務は夢のまた夢、ブランクは長くなるばかり・・・。

以上のような理由で施設入所を決意せざるおえませんでした。

 

 

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認知症進行で部屋を散乱させる毎日



「入管難民法改正前に議論すべきこと」

祖母が施設入所し約1週間。

ホッとしたり、寂しくなったり、在宅で過ごす最後の日が決まっていたら何かしてあげたかったなと思ったり、色々な感情がわいてくるものですね。

在宅介護ロスとでもいうのでしょうか。

「ベッドや車椅子を引き取るとますますポッカリ穴があいたような感じになると思いますよ」とケアマネジャーさんに言われたが、そうなるのかもしれません。

先々週まで月曜はデイサービス後在宅介護、火曜は訪問看護1時間と在宅介護、水曜はデイサービス後在宅介護。

さらに、木・金曜はショートステイ、土曜夕方帰宅後在宅介護、日曜終日在宅介護というサイクルが一気になくなったのもあるのかな。

ただ、いつまでもロスっている暇はありません。

今度は空いた時間を自分の体や能力を考えつつ一歩ずつ仕事を増やして、何か少しでも社会や人の役に立つようになるのが、自分のためや祖母への恩返しになると思います。

そして、施設入所へ移行しましたが今後はその様子なども随時伝えていきます。

早速今週の日曜に面会に行き外に連れ出し20分程散歩したり、施設内で10分歩行したり、体操したり、一緒にみかん食べたり、トイレ介助したり。

祖母は「来てくれたんかいな、幸せや。私はもう今日死んでもいいよ」と大泣きしていました。

家族にしかできない介護をせめて面会の時ぐらいはしようと思います。

ご承知の通り、介護施設は深刻な人手不足で先日見学した施設では夜間、利用者70人に対し4人の施設職員で看ていらっしゃるそうです。

おそらく今週中に入管難民法が成立するでしょう。

外国人を受け入れるのも大切だと思います。

ですが、介護職員さんの給与をさらに引き上げる(介護福祉士10年で月8000円アップの改善はされたものの)、在宅介護に給与制を導入、施設に預けても特段の事情がない限り週1回は面会に行き2時間面倒を看るなどなぜ議論すらしないのか疑問です。

明日は母親と誕生会に参加予定です。

「ボーっと生きてんじゃねーよ」な毎日が続きます。

今まで6年間在宅介護生活を応援していただいた皆様、感謝します。

これからも変わらぬご愛顧を頂戴できましたら幸いと存じます。

 

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2日前祖母の施設面会先にて一緒に散歩